牧師の部屋

ネットで拾った話

「星を動かす少女」

クリスマスのページェントで、
日曜学校の上級生たちは
三人の博士や
牧羊者の群れや
マリヤなど
それぞぞれ人の眼につく役を
ふりあてられたが、
一人の少女は
誰もみていない舞台の背後にかくれて
星を動かす役があたった。
「お母さん、
わたしは今晩星を動かすの。
見ていて頂戴ね―」
その夜、堂に満ちた会衆は
ベツレヘムの星を動かしたものが
誰であるか気づかなかったけれど、
彼女の母だけは知っていた。
そこに少女のよろこびがあった。

松田明三郎作 福永書店