バレンタイン・デーはチョコレートと関係ありません

 

「聖バレンタイン」

 

 今から、1760年も 昔のこと、キリスト紀元の250年頃、ローマの町に、たいへん熱心に神さまを信じるバレンタインという人が住んでいました。もっと正しく言うと、ヴァレンティヌス(Valentinus) です。

 そのバレンタインのことを紹介します。

 バレンタインは、救い主キリストに仕えたいと考えて、修道院の修道士になりました。でも、他の修道士たちのように、じょうずに賛美歌を歌ったり、美しい絵画を書いたり、力強い説教で伝道したりすることができないことをいつも寂しく思っていました。「わたしはこんなにイエスさまを愛しているのに、なんにもできない..」。

 そんな悲しい気持で過ごしていたある日、バレンタインは心の中に小さい声を聞きました。「あなたにできることを続けなさい。主はそれをお望みです」。バレンタインは自分にできることを一所懸命考えました。「そうだ、 わたしは毎日ひとりずつ、さびしい人や苦しんでいる人に聖書のみ言葉、神の言葉を書いて贈ることにしよう。それを一生つづけてイエスさまの愛を伝えよう。」と。

 来る日もくる日も、バレンタインは町を歩いて、さびしい人や悲しんでいる人を見つけると、小さいカードに愛のみ言葉を書いて贈りました。世の中にはなんて沢山の人々が苦しんでいることでしょう。やがてバレンタインは町中の人に「愛を伝える人」として知られるようになり、皆から慕われ、尊敬されるようになりました。

 ところが...ただひとり、バレンタインをとても嫌っている人がいました。それはヴァレリアヌス皇帝(Publius Licinius Valerianusでした。バレンタインが自分よりも皆に好かれ、尊敬されているのをねたんだのです。皇帝はもともと、キリスト教が大嫌いでした。そこで、バレンタインをつかまえて牢屋に入れてしまいました。バレンタインはさびしい人を訪ねたり、愛と慰めの手紙を書 いたりすることができなくなったので、大変悲しみました。

 ある時、牢屋の高い所にある小さい明かり取りの窓でカサコソと音がしました。バレンタインが目を上げてみると、それは一羽のハトでした。ハトは、くわえてきたハート型の木の葉と、自分の体から抜いた羽根を一本、牢の中にヒラヒラと落としました。バレンタインはそれを拾うと、羽根をペンにして木の葉に愛の言葉を書きました。ハトはそれをくわえると、町の空に飛んで行って、悲しむ人に届けました。昔々の航空便です。ハトは毎日、木の葉を一枚ずつ持ってきては、愛の言葉を人々に届けました。

 やがてヴァレリアヌス皇帝がペルシャ軍との戦争に負けて死んで、バレンタインは牢屋から解放されました。そして再び、自由に神さまに仕えることができるようになったのです。しかし、クラウディウス皇帝(Marcus Aurelius Claudius Gothicusのキリスト教迫害によって、バレンタインは殉教の死をとげることになりました。紀元269年のことでした。人々は大変悲しみ、教会はこの愛の使徒をしのんで、「聖バレンタイン」と呼ぶようになりました。そして、バレンタインが死んだ2月14日を祝日として守ることにしました。

 あなたも、神さまがお喜びになることで、自分にできることを何か一つ見つけて、それを一生続けるように決心なさってはいかがですか?

 それを考えるのが、バレンタイン・デー(聖ヴァレンティヌスの日)なのです。