ヴィアドロローサ(Via Dolorosa)悲しみの道、苦難の道、十字架の道

 キリスト教徒にとって最も神聖な道。主イエスがアントニオ要塞のピラト官邸で十字架刑を宣告され、十字架を引きずり、ゴルゴダ(カルバリ)の丘(現在の聖墳墓教会)までの道。約1000メートルの道に、14のステーション(祈り場)がある。道そのものは、アラブ人地区にある。

 アントニオ要塞は、ヘロデ大王が彼の友人マーク・アントニーを記念して建てたもの。のちに、ローマ皇帝ティトスが破壊した。この要塞に、ローマの総督ピラトの官邸があり、主イエスはここで死刑を宣告され、あざけられ、ローマ兵に茨の冠をかぶせられた。

 ステーション1  現在はオマリー学校校庭になっているので、入れない。

昔のアントニオ要塞(総督官邸)。毎金曜日の午後3時に、ここから出発して、ヴィアドロローサを巡礼する習わしが、13世紀から続いている。

 ステーション2  フランシスコ派の鞭打ちの教会堂が建てられている。

この教会堂は、1927年に十字軍スタイルで建てられ、鞭打ちを表すステンドグラスがつけられている。中には、パウロを記念した祭壇があり、その奥に「宣告の教会」がある。主イエスがピラトから死刑を宣告されたことを表している。この教会堂は四角いビザンチン風な建て方で、ステンドグラスは主イエスの苦悩を表現している。(ドイツのマクシミリアン公がエジプトのイブラヒム・バシャから買い取り、フランシスコ会に寄贈したもの)

エッケホモ教会(Ecce Homo Arch−Basilica)は135年、ハドリアヌス帝により建てられ、現在、シオン女子修道院の中にあります。ここは、アントニオ城塞の一部をなしていて、ローマ時代の敷石(ガバタ)が残り、ローマ兵がゲーム(キングゲーム、バシリンダ)をした跡が平敷石に刻まれている。その他、ストルション地下貯水槽、ハスモン時代の墓などが残っている。

 ステーション3  アルメニアカトリックの小礼拝堂がある。

ここで主イエスは十字架の重みに耐えかねて倒れたところ。

 ステーション4  小礼拝堂とマリア衝動の教会がある。

ここで母マリアは衝動の念にかられてイエスに会う。ここに小礼拝堂(Oratory)と、マリア衝動の教会(Our Lady of the Spasm Church)があり、ビザンチン時代のモザイクがある。

 ステーション5  フランシスカン礼拝堂が建っている。

主イエスに代わって、キレネ人のシモンが十字架をかつがされたところ。シモンは過越祭のためにリビアからエルサレムに来たところであった。(マルコ15:21)

 ステーション6  ギリシャ正教会が管理している。

ベロニカと呼ばれる女性が、布で主イエスの顔の汗を拭ったところ。その時の布にイエスの像が印されたというのが「聖蓋布」。ここの教会はベロニカの家の跡といわれ、丸天井は十字軍の聖コスモス修道院跡で、現在はギリシャ正教会が管理している。

 ステーション7  フランシスコ派の2つの礼拝堂がある。

主イエスが再び倒れた場所。ここには当時、門があり、そこにイエスの罪の告示をしたしたことから「裁きの門」ともいわれる。

 ステーション8  ギリシャ正教会のハラランボス修道院がある。

主イエスがエルサレムの女性に話しかけ、エルサレムの滅亡の預言をしたところ。

 ステーション9  コプト教会がある。

主イエスが3度目に倒れた場所(コプト教会の入り口)。このコプト尼僧修道院内は巨大な地下水槽になっている。その裏側に、聖墳墓教会のセントヘレナ礼拝堂がある。

コプト派とは、アビシニア(エジプト)に伝わったキリスト教の一派です。

 ステーション10 フランシスコ派の所有

主イエスが上着を脱がされたところ。ここには「アブラハムのイサクいけにえ」と「イエスのいけにえ」との、対照的なモザイク画がある。

 ステーション11 フランシスコ派の所有

午前9時に十字架に釘付けされる。ここの南堂の屋根と壁は、フランシスコ派により、モザイクで装飾されている。正午に地震が起こった。

 ステーション12 ギリシャ正教会の祭壇の地下

午後3時に、主イエスは十字架上で息を引き取った。北堂のギリシャ正教会の祭壇下に「銀盤」があり、その場所を示している。主イエスが息を引き取った時、カルバリの岩(祭壇右の「アダム礼拝堂」下の岩)は割れ、亀裂が生じた。祭壇両側の円盤は、主イエスのほかの二人の強盗の処刑場所を示している。

 ステーション13 フランシスコ会が管理

主イエスの身柄は十字架から下ろされ、母マリアが受け取ったところ(ガラス箱に入ったマリアの木彫胸像がその場所)。聖書では、受け取ったのはアリマタヤ出身の議員ヨセフといわれる(マルコ15:42−47)。塗油の石は赤い長方形の石で、この上で主イエスの身体に油が塗られた。また、カルバリの入り口を示している。

 ステーション14 ローマカトリック、ギリシャ正教、アルメニアンが共用する

主イエスの身体は聖墳墓の場所に横たえられる。

ここは、ロシア風の丸屋根を持つ建物で、聖墳墓に至る小さな部屋は、天使の礼拝堂と呼ばれ、中央台座は主イエスの墓を閉じるときに使った円盤形の石の一部といわれる。白大理石板でふさがれている狭い割れ目から聖墳墓へ導かれる。入口後方に、コプト派(エチオピア)の小礼拝堂があり、聖墳墓の岩を直接見、触ることが出来る。